持効型リスパダールは経口薬に勝らなかった

持効型抗精神病薬(注射剤)はもともとノンコンプライアンスに伴う再発、再入院を防ぐ目的で作成されました。さらには日常の経口服用薬の減量ができ、服薬の心理負担を軽減させるとともに、大量服用や誤飲を防止できるというメリットがあります。

これまでハロペリドール、フルフェナジン、リスペリドンの持効製剤が出ています。

では、この持効製剤、本当にメリットがあるのか?調べたレポートがNEJMに掲載されていました(http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1005987)。

■方法■
過去2年間以内に入院または近々に入院する可能性のある統合失調症または統合失調性感情障害の患者さんに持効型リスパダール注(25,50mg/2週間)または経口型抗精神病薬を服用させました。

全ての患者さんは2年間フォローアップしました。一次エンドポイントは 病院への入院です。また、症状や、QOLおよび機能面も評価しました(ブラインドで)。

■結果■
369人の患者さんのうち、40%が入院中で、55%が過去2年以内に入院を経験、5%が入院の可能性大でした。

治療の結果、入院の割合は持効型リスパダール注投与群では39%(入院期間10.8ヶ月)、経口抗精神病薬群では45%(入院期間11.3ヶ月)と、若干、持効型リスパダール注の方が入院率は少ないですが(ハザード比は0.87)、有意な差ではありませんでした。

統合失調症の症状、QOL、全般的機能および副作用は持効型リスパダール注でも改善されませんでした。

むしろ、持効型リスパダール注の方が注射部位の副作用や錐体外路系症状が、経口剤より多かったようです。

■まとめ■
入院のリスクがある統合失調症の患者に対して、持効型リスパダール注は経口抗精神病薬より優れてはいませんでした。また、注射部位の副作用や錐体外路系症状が多いという問題点が逆にあげられました。

持効型リスパダール注は2週間製剤です。もともと欧米では統合失調症の患者は病院内よりなるべく院外に出すような政策がとられていました。このため、持効注が日本より発達していました。個人的には良い成績が出るのかと期待してました。

しかし、持効型リスパダールはマイクロスフェアー製剤で投与初期の一過性の放出があったと記憶してます。そういうのが副作用に影響してないかな?