ACCORD試験の結末

心血管リスクが特に高い2型糖尿病患者を対象に血糖値管理の目標値をヘモグロビンA1c値6.0%未満に設定した大規模無作為化試験「ACCORD試験」で、有意な死亡率上昇が認められました。試験は道義的な観点から中止となり、全世界に衝撃を与えました。

その後、もう終わったものと思っていましたが、今月のNEJMで久しぶりにACCORD試験の名前を見つけました(http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1006524)。

ACCORD試験はストップしましたが、その後、経過を観察していたようです。大きな流れは変わりませんでしたが、印象深かったのでまた紹介します。

■方法■
強化療法(HbA1cは6.0%以下)、標準治療(7.0-7.9%)を行っていましたが、試験中止に伴って、強化療法群も標準治療と同じように7.0-7.9%にHbA1cはレベルを下げられました。その後、試験計画の終了までフォローアップされました、

■結果■
強化療法を止める前までには、標準的治療とは、非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中や心血管系疾患による死亡では有意な差は認められませんでした。しかし、全体の死亡率は強化療法群が有意に高値を示し(ハザード比は1.21)、非致死性心筋梗塞のみだと有意に低値を示しました(ハザード比は0.79)。

これらの傾向は試験終了まで持続しました(全死亡率のハザード比は1.19、非致死性心筋梗塞のハザード比は0.82でした)。

強化療法終了後、HbA1cは6.4%→7.2%へと増えました。使用した血糖低下薬の種類や、重篤な低血糖の頻度、それ以外の副作用は両群間で差はありませんでした。

■まとめ■
平均3.7年間HbA1cを6%目標に治療しましたが、5年後の結果では、中止直後と同様に全死亡数が増加し、非致死性心筋梗塞は減少しました。結局、心血管リスクが特に高い2型糖尿病患者には強化療法は適してないことが確認されました。

いまさら、ACCORD試験ですが、その後も続いていたので驚いて紹介しました。でも、終了したあとも良い効果も悪い効果も残っているというのは、いわゆる「レガシー効果」なのかもしれませんね。