新説?スタチンは肺炎の死亡率を下げる?

スタチンの本来の薬理作用はLDLを下げ、高脂血症に伴う症状/疾患を改善することです。しかし、それだけでは説明できない作用が多く、Pleiotropic actionとか、メーカさんは言ってます。

そんな、スタチンですが、BMJに肺炎の死亡率を下げるという報告が出てました(http://www.bmj.com/content/342/bmj.d1642)。

■方法■
コホート研究です。スタチンを処方された人と、処方されてなかった人で差を調べる方法を取っています。

600万人以上の患者を登録している英国のデータベース、United Kingdom Health Improvement Network databaseを利用してます。

1995~2006年の間にスタチンを服用した患者129,288人と、それにマッチした非スタチン服用患者600,241人をサンプル。9073人が肺炎を発症し、そのうち1398人がスタチンを服用してました。それぞれの肺炎による死亡率を調べました。

■結果■
スタチン群も非スタチン群も肺炎の病状は同程度でしたが、肺炎と診断された日にお亡くなりになったのは、スタチン群が95人/942人、非スタチン群では686人/3615人でした。

診断後から6ヶ月以内に亡くなったのは、スタチン群で109人/847人でしたが、非スタチン群では578人/2927人でした(ハザード比が0.67でした)。

これを実際の臨床に慨そうすると、6ヶ月間スタチンを服用すると、15人に1人の患者さんを死亡から救うことができると言う計算になります、

■まとめ■
結果から推察すると、6ヶ月間の肺炎による死亡率をスタチンが減少しました。このことは、肺炎が発症した時に、スタチンを投与すると肺炎の死亡率を予防できるかもという結論になります。

しかし、さすがに論文です、「これは肺炎を起こしたときにスタチンを服用するような大規模な試験をしないと実証されない」と逃げています。

メーカさんは喜びそうですが、後ろ向きコホート研究ですので、ある程度バイアスを考慮する必要があります。筆者が言ってるように、やはり直接的に証明しないとなんともいえませんね。