スタチン強化療法は糖尿病の発症を増やす?

最近、スタチン療法を行うと、心血管イベントは減るが、糖尿病の新規発症リスクが増えるというレポートがあるようです。

そこで、、スタチン強化療法(高用量)では普通のスタチン療法(中等量)の試験と比べて、リスクが増えるのか?メタ解析で調べたレポートがJAMAに載っていました。

■方法■
高用量スタチンと中等度の用量のスタチンでのリスクの差を比較するために、フォローアップが1年以上で、1000人以上の参加者がある試験をピックアップしました。

■結果■
●5つの試験で、糖尿病の既往がない患者合計32752人中、2749人が糖尿病を発症(高用量スタチン群では1449人、中等度の用量では1300人)、心循環器系イベントは6684人(高用量スタチン群では3314人、中等度の用量では3550人)
●結果、100人の患者が1年間に糖尿病を発症する数は、中等度用量より高用量の方が2人多く、心循環器系イベントの発症は高用量群のほうが6.5人少なかった。
●糖尿病の発症のオッズ比は中等度用量群にくらべて高用量群の方が高く1.12、一方、心循環器系のオッズ比は0.84と低くなっている。
●中等度用量群と比較して、新規な糖尿病患者が1人多く発生するのに必要な高用量スタチン患者数は498人。対して心循環系イベントでは155人でした。

■まとめ■
高用量のスタチンは中等度の用量より糖尿病の発症率を増やしました。しかし、高用量スタチンは心血管イベントをより抑える方向に作用します。