ブプロピオンは強化禁煙指導下では効かない?

ブプロピオンという抗うつ薬は、禁煙時の離脱症状である気分の落ち込みを防ぐ目的で禁煙補助剤として米国では認可されています(Zyban)。また、米国では『臨床ガイドライン:喫煙と依存症の治療』で第一選択薬の一つになっています。

一方、急性冠動脈疾患(ASC)では喫煙は虚血発作のリスクファクターとなっています。しかし、2/3の急性冠動脈疾患の患者さんは心筋梗塞を起こしてもタバコをやめません。先ほどのブプロピオンは禁煙の補助薬として既に効果が認められているのですが、この急性冠動脈疾患への有用性はあまり調べられていないので、今回試験したというレポートがArch Intern Med.に載っていました(http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/short/171/12/1055)。


■方法■
二重盲検試験で、ブプロピオンとプラセボを8週間処置しました。患者さんは急性冠動脈疾患で入院し、同時に看護婦さんによる院内の禁煙サポート、また退院後は電話によるサポートを行いました。

一次エンドポイントは1年後の禁煙成功率と、イベントの発生です。

■結果■
151人で調査しました。

禁煙率    3ヶ月後  6ヵ月後  1年後
ブプロピオン 45%    37%    31%
プラセボ   44%    42%    33%

結果、両群間にはあまり差がありませんでした。
多変量解析にて、最初の入院中の侵襲的治療法の施行は、1年後禁煙状況にとって独立した予測因子のオッズ比は4.2でした(・・・・看護師さんによる強化禁煙療法は禁煙に大きく寄与している・・ということかな)。

一方、ブプロピオンによる副作用発現は禁煙の妨げになるようです(1年後の禁煙のオッズ比は0.23)

ブプロピオン服用によって。イベントの発生や血圧またはBMIには影響しなかったようです。 ただ、目まいがブプロピオン服用群でよく見られました(14% vs 1.4%; P = .005)。

■結論■
ブプロピオンは急性冠動脈疾患の患者さんに飲ませてもそれほど悪い作用は示しません。

しかし、看護師さんがついてしっかり禁煙指導する場合は、それ以上の禁煙効果を期待はできないようです(看護師さんの禁煙指導おそろしや・・)。

また、副作用でめまいが出るので、それがでると、逆に記念の妨げになることは注意が必要ですね(といっても日本では出てない薬でした)