NSAIDsは心房細動のリスクを増やす

NSAIDs服用による心房細動のリスクはかねてからいわれていました。というのも、NSAIDsの副作用として、腎機能の障害があります。腎機能が低下すると血中のイオンバランスが崩れ、水分含量も増えます。さらに血圧も上昇するので、心房細動を起こしやすいというものです。

そこで、報告者はNSAIDsをクラッシックなNSAIDsとCOX2阻害薬とに分けて、心房細動のリスクになるか否かを調査しました(http://www.bmj.com/content/343/bmj.d3450.abstract

■方法■
1999~2008年の心房細動または粗動と診断された32602人をピックアップし、さらにそれとマッチする非心房細動/粗動のコントロールの患者、325918人をピックアップしました。そして、それぞれNSAIDsを服用しているか否かを調査しました。

さらに、①NSAIDsを心房細動発生時に使用していたのか、それとも過去に使用したのか?、②また発生時に使用していた場合、最近使用し始めたのか(60日以内)sれとも過去から使用していたのか(60日以上前から)、③併発している疾患との関連をいらべました。

■結果■
心房細動/粗動患者で2925人(9%) 、コントロールで 21 871人 (7%)がNSAIDsまたはCOX2阻害薬を服用。

非服用者との比較を行うと、NSIDSでは罹患率の比(incidence rate ratio )は1.33、COX2阻害薬では1.50とリスクが上昇。これを年齢や性別等々で調整してもそれぞれ1.17と1.27で高かった。

さらに、使用し始めて60日以内の方がそれ以上の場合と比べて、NSAIDsで1.46、COX2阻害薬で1.71とよりリスクが上昇しました。

■まとめ■
どうも、NSAIDs投与により心房細動/粗動のリスクが増えるようです。特に、その傾向は①COX2阻害薬のほうが強く、かつ②服用して60日以内に起こりやすいようです。

そもそも腎臓機能への副作用も投与早期に起こりやすく、またCKDの患者ではCOX2による心房細動/粗動を2倍以上増やしているので、腎機能を介したものがかなり含まれているのかもしれません(ただ、NSAIDsでは逆にCKD患者ではリスクが減少していますので、解釈は難しい)。

どちらにせよ、NSAIDsの副作用として心房細動/粗動も気に留めておいたほうがよさそうです