B 型ナトリウム利尿ペプチドは毒にも薬にもなりません

B 型ナトリウム利尿ペプチドは心房性ナトリウム利尿ペプチドから派生して発見された、ペプチドで米国では臨床に用いられています(商品名:ネシリチド)。

しかし、先に行ったメタ解析では腎毒性や死亡率の増加等の懸念が上げられました。

そこで再度、このB 型ナトリウム利尿ペプチド、ネシリチドの効果と副作用を調べてみました(http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1100171?query=featured_home)。

■方法■
7141人の非代償性急性心不全患者をランダムに標準的な治療を行った上で、ネシリチドまたはプラセボを処置しました。一次エンドポイントは6又は24時間後の呼吸困難と30日以内の再入院と死亡率です。

■結果■
ネシリチドを投与した患者さんの呼吸困難は改善されました(6時間後の改善は44.5% vs. 42.1%, P=0.03、24時間の改善は68.2% vs. 66.1%, P=0.007)。

しかし、予めの設定はP≤0.005だったので、その条件はクリアできませんでした。

治療開始から30日以内での心不全による再入院または死亡はシリチドで9.4%、プラセボで10.1%でした。

30日目の死亡率(全ての原因)はシリチドで3.6%、プラセボで4.0%と有意な差はありませんでした。

腎機能の悪化もシリチドで31.4%、プラセボで29.5%で、オッズ比も1.09でした(GFRが25%以上低下した割合)

■まとめ■
B 型ナトリウム利尿ペプチドは、非代償性急性心不全の死亡率や再入院率には影響しませんでした。呼吸機能の改善は弱いながらあるようですが、所詮、最初のクライテリアはクリアできなかったので、期待をかけるほどではないようです。

まだ、日本では上市されていません。ま、その前に効き目なしという結論になりよかったのかもしれません。