FactorXa阻害薬は急性冠症候群のイベントを抑制しなかった
アビキサバンは最もステージが進んでいるFactorXa阻害薬です。
今回、このアビキサバンが急性冠症候群のイベントを抑えるか否か調べた、レポートがNEJMに掲載されていました(http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1105819?query=featured_home)。
■方法■
アビキサバン(5mg×2回/日)とプラセボで、二重盲検試験を行いました。なお、患者さんは従来の抗血小板療法を実施しています(アポキサバンとプラセボをadd onする形です)
患者さんは最近、急性冠症候群と診断された方で、最低でも再発のリスクを二つ以上持っています。
■結果■
アビキサバンで他群より、出血傾向が見られたので、7392人の患者さんで打ち止めになりました。
平均の治験期間は241日で、イベント(心循環死、心筋梗塞、脳卒中)はアピキサバンで7.5%、プラセボで7.9%で発現しました。これを1年間×100人当たりの発生率で比較すると、アピキサバンが13.2人、プラセボが14.0人でした(ハザード比が2.59です)。・
心筋梗塞後の血栓溶解療法の際の出血は、アピキサバンで1.3%、プラセボで0.5%でした。同様に1年間×100人当たりの発生率で比較すると、アピキサバンが2.4人、プラセボが0.9人でした(ハザード比が0.95です)と、明らかにアピキサバンの方が出血が多くなりました。
頭蓋内出血や致死性の出血はアピキサバンの方が多く発生しました。
■まとめ■
ハイリスクの急性冠症候群の患者さんに、従来の抗血小板療法にさらに追加して、アポキサバンを投与しても、効果は変わらず、逆に、出血が激しくなることが明らかになりました。
やはり、従来の抗血小板療法にさらに、加えても急性冠症候群はされに改善することはなさそうです。