ビタミンEが前立腺がんのリスクを上げる?

ビタミンEはこれまで、前立腺がんの発生を予防するといわれてきました。

それで、ビタミンEと、それに前立腺がんによいと言われるセレンの前立腺がん発生に影響するか、調べた調査が行われました(SELECT試験)。しかし、残念ながら両者またはそれぞれ一緒に飲んでも、前立腺がんの発生には影響せず、むしろ有意ではなかったのですが、発生を増やす傾向がありました。

で、このままで終わらせないのが研究者です、。さらにフォローアップして、調べた論文がJAMAに掲載されていました(http://jama.ama-assn.org/content/306/14/1549.full

追跡の結果、トライアル期間は最低で7年、最長で12年となりました。

■結果■
プラセボで529人/8696人、ビタミンE群で620人/ 8737人と、ビタミンE群が多く、ハザード比は1.17でした。一方、セレン群では575人/8752人で、両方とった群は 555人/8702人とすこし多くなり、ハザード比はそれぞれ1.09と1.05でした。

プラセボと比較すると、ビタミンEを摂取していると1000人あたり年間で1.6人多く前立腺がんになることが判明。一方、セレンでは 0.8人、両者を併用した場合は0.4にんでした。

■まとめ■
ビタミンEを摂取すると前立腺がんが増えるという奇妙なデータが出てきました。

これをみて「ビタミンEは取らない方がいいんだ!」と叫ぶのはまだ早計だと思います。ビタミンEそれ以外にも作用するので、その中の一つと考える方が妥当と思います。

かつてビタミンEは喫煙者3万人を対象にして行った試験で前立腺がんの発生/転移をよくしえしたことが報告されていました。喫煙者に「ビタミンEをとれ」というのではなく、「ビタミンEも含めて様々なビタミン、ミネラルを取るために野菜も食べてね」いいのかなと思った次第です。