TNFα阻害薬は感染症による入院のリスクを増やさない

生物学的製剤である、TNFα阻害薬は現在、リウマチや乾癬などの自己免疫疾患に幅広く使われています。しかし、その強力な免疫抑制作用により、感染症のリスクを上げることが知られています。

しかし、この事実必ずしも一定ではないようです。そこで報告者はこれまで報告されているレポートをもとにメタ解析を行いました。

■方法■
1998-2007年に発表された、米国での、リウマチ、乾癬、炎症性腸炎の患者さんを用いた多施設試験のレポートをピックアップしました。

一次エンドポイントはTNFα阻害薬を投与してから1年間に発症し、入院した患者さんの数です。

■結果■
リウマチ患者10,484人、炎症性腸炎2323人、乾癬および脊椎関節症が3215人でした。TNFα阻害薬と使用者と非使用者でマッチさせました。

結果、1172人に重篤な感染症が認められました。内訳は53%が肺炎と皮膚またはやわらかい組織での感染でした。

リウマチではTNFα阻害薬での入院率は8.16人/100人/年で、それ以外の通常の治療薬では7.78人/100人/年で、ハザード比は1.05とそれ程リスクは上がりませんでした。炎症性腸炎でもTNFα阻害薬では10.91/人/年に対して通常療法では9.6人/100人/年で、ハザード比は1.10でした。乾癬/脊椎関節症、TNFα阻害薬が5.41人/100人/年で、通常療法は5.37人/100人/年で、ハザード比は1.05でした。

ただ、リウマチの患者さんでは、レミケードが他のTNFα阻害薬より有意に感染症で入院するリスクを上げています(エンブレルとはハザード比が1.26、ヒュミラでは1.23でした。

一方、副腎皮質ホルモン用量依存的に感染症での入院率を上げています。

■まとめ■
TNFα阻害作用を有する生物学的鵜製剤は、常に感染症の危険性と表裏一体です。これまで常に感染症への注意を言ってきました。しかし、入院で指標にとると、必ずしもすべてがリスクを上げるのではなく、レミケードが最もリスクが高く、逆に他のTNFα阻害薬ではそれほど差がないことが分かりました。

ただ、入院率でみていること、ハザード比もわずかだが他のモアがている音から、注意は怠らない方がよいと感じました。