コレステリルエステル転送蛋白阻害薬

HDLは末梢にたまったコレステロールをまた肝臓に戻すという、逆輸送を司るリポタンパク質です。HDLが増えると動脈硬化に予防的に働くとえされています。このHDLは飲酒や運動で増加するといわれており、その際、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)の活性が低下していることが報告されています。このためCEPT阻害薬はHDLを増やす新しい、脂質改善薬となりえるとして、様々な企業が開発しています。

しかし、結構、昔から研究されいる割には新薬が出ないとも言われています。今回、CEPT阻害薬、Evacetrapibの臨床データがJAMAで報告されていました。

■方法■
今回、evacetrapibの効果をプラセボまたはスタチンと比較すするとともに、スタチンとの併用効果を脂質異常症の患者さんで調べました。ちなみにスタチンはsimvastatin, 40 mg/d; atorvastatin, 20 mg/d; or rosuvastatin, 10 mg/dです。

Evacetrapibは単独効果は30、100、500mg/dで併用では100 mg/dで、それぞれ12週間投与しました。

■結果■
投与前値はHDL-Cは55.1mg/dL、 LDL-Cは144.3mg/dLでした。Evacetrapib単独では用量依存的にHDLは30.0から66.0 mg/dL増加した(プラセボでは0.7 mg/dL低下)。LDLも用量依存的に20.5から51.4 mg/dL低下した(プラセボでは7.2 mg/dL増加)。

スタチンと併用すると、Evacetrapib, 100 mg/dはHDLを42.1 tから50.5 mg/dLに増加し、LDLを−67.1から さらに、−75.8 mg/dLまで低下した。

Evacetrapibの単独投与と比べると、スタチンと併用した場合、LDLをより下げることは確認されたが、HDLはそれ程さらに増やすことはしなかった。一方、副作用は特に確認されなかった。

■まとめ■
CEPT阻害薬、Evacetrapibは単独/スタチン併用でHDLを増やし、LDLを低下することが臨床でも確認されました。

あとは、このHDL増加により本当に動脈硬化による心循環器系疾患の予防に有効か?その確認が必要ですね。