リピトールジェネリック化でクレストールも売れなくなる?

先日、リピトールのジェネリック化でクレストールがピンチという記事が出ていました。

アストラゼネカが仕掛けたリピトールとクレストールを比較試験であまり差がなかったので、安価なリピトールのジェネリックが出ると、クレストールが売れなくなるという記事です。

その論文がちょっと古いですが、NEJMに載っていました(http://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMoa1110874)。

■方法■
両方の最大用量で冠動脈の動脈硬化の進展を比較しようという試験です。

1039人の冠動脈疾患の患者に、リピトール80mg/日、クレストール40mg/日、104週間投与し、冠動脈硬化の進展度と副作用発現頻度を調べました。

■結果■
104週間後、ロバスタチンはリピトールよりLDLをよく低下し(62.6mg/dL vs. 70.2 mg/dL)、逆にHDLはクレストールの方がよく増加しました(50.4mg/dL vs. 48.6 mg/dL)。


しかし、動脈硬化の退縮(PAV)で比較すると、クレストールの方がやや良く退縮する傾向にはありましたが、有意ではありませんでした(減少率0.99% vs. 1.22%)。

ただ、全部の動脈硬化ボリュームを足し合わせ、ノーマライズすると(normalized total atheroma volume (TAV))クレストールの方が有意に良いという結論になりました(−6.39 mm3 vs. −4.42 mm3)。.

動脈硬化が退縮した患者さんの数を比較するリピトールで63.2%、クレストールで68.5%で、有意な差ではありませんでした。

両薬剤とも副作用頻度は低く、心疾患イベントも少なく買ったようで、この辺も差がありませんでした。

■まとめ■
クレストールとリピトール最大用量(欧米での)を使っても、動脈硬化でみると、あまり差はなさそうです。

また、LDLの下がりもHDLの上りもそれ程・・・差がないように思えます。

リピトールのジェネリックが出て価格が安くなると、効果がそれほど変わらないクレストール、医療経済から考えるとリピトールのジェネリックに変わるのの当然かもしれません。