食料品のコーティング剤がワクチンによる免疫を邪魔する

ペリフルオロ化合物という、どこか昔の合成化学の試験に出そうな名前ご存知でしょうか?

よく知られている、テフロン加工の焦げないフライパンのコーティング剤の一つが、このペリフルオロ化合物です。

この仲間、食料品のパックトレイや自動車のワックス・・等々様々なところに使われています。

昔から、発がん性があるのではといわれて、環境問題として取り上げられていたようです。

そのペリフルオロ化合物を妊婦さんが暴露されると、小児のワクチンの免疫を下げるという論文がJAMAに載っていました(http://jama.ama-assn.org/content/307/4/391.short)。

■方法■
デンマークのフェロー諸島の病院で199-2001年に出産した赤ちゃん、656人中587人を2008年まで調査しました。

妊娠中のお母さんのペリフルオロ化合物の濃度を測定し、出生した子どもさんの5歳と7歳の時のジフテリアと破傷風の抗体値を測定しました。

■結果■
血液中のペリフルオロ化合物では、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタン酸(PFOA)が多かったのは前のアメリカの報告と同じです。

このペルフルオロオクタンスルホン酸の血中濃度は5歳の子どもの抗体値(ジフテリアと破傷風菌)と負の相関をしました。2ペルフルオロオクタンスルホン酸の血中濃度が2倍になると、抗体価が39%低下するそうです。

5歳児だけでなく7歳児でも抗対価の低下は、ペリフルオロ化合物全般で認めらました(ただ、ペルフルオロオクタンスルホン酸の血中濃度と7歳児のジフテリアの抗体価のみ優位な相関性が出ませんでした)

統計学的に検討すると、2倍ペリフルオロ化合物の血中濃度が増加すると、全ての抗対価が49%下がる計算になりました。また、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタン酸の血中濃度が両方とも2倍に上がると、臨床的に有効な抗体価が維持できなくなるオッズ比は5歳で2.38、7歳では4.2となりました。

■まとめ■
ペリフルオロ化合物に妊婦さんが暴露されると、子どもさんのワクチンの抗体価が上がらなくなることが証明されました。

環境問題のNPOが聞けば、鬼の首お取った様に大喜びするようなデータがJAMAに載ること自体珍しいと思います。深刻に考えなければいけない問題なのかもしれません。


                  ★  おまけ その1  ★

ペリフルオロ化合物は有機フッ素系化合として、ひとくくりにして、内分泌かく乱物質として認定されているようです。

既に規制されているようです。

HPよりコピペしました

*****************************


PFOS、PFOAをはじめとする有機フッ素系化合物のことをFOCsといいます。
FOCsは、水や油をはじく性質があるので、防水スプレーや界面活性剤などの用途で日用品に多量に使われています。
また、PFOS、PFOAでも問題となっていますが、FOCsは極めて分解されにくく、人体への蓄積性が高いことが特徴で、EUやアメリカで規制の動きが高まり、国際的にも規制される動きになっています。

PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)はFOCsの一種ですが、2009年にPOPs条約で規制される見通しとなっています。
POPs条約でPFOSが使用禁止になると、日本では化審法:化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律でPFOSが規制されることになります。
またPFOSは、EUでもPFOS規制として規制されることになっています。
PFOS規制では、2008年6月27日以降、一定量を超えてPFOSを含有する製品のEUへの上市が禁止となります。



                     ★ おまけ その2 ★


ちなみに、厚労省が出した「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会」の資料(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/dl/s0331-9a.pdf)の表2-9-2 にこの研究が載っていました(「フェロー諸島」で検索すると出てました)。

あと、日本での成績も93ページに記載されています