オンライン診療で処方箋はどうなる?
オンライン診療は自宅にいながら医師の診察を受ける方法として注目されています。スマートフォンやパソコンでビデオ通話を使い、対面と同様に問診や症状確認が可能です。さらに、薬局での直接受け取りや自宅等への配送といった柔軟な薬剤交付方法を提供できることは、患者さまの利便性を高めるとともに、医療機関にとっても多様な診療ニーズへの対応力を高めることにつながります。
オンライン診療とは?自宅に居ながら診察を受ける医療サービス
オンライン診療は、患者さまが自宅や勤務先から受診でき、移動や待機時間の軽減につながります。予約や問診の環境を整えることで、発熱や感染リスクに直面する患者さまの受診を容易にし、医療アクセスの向上に貢献します。
具体的には、ウェブサイトまたは専用アプリケーションにアクセスし、直近の診療スケジュールから希望日時を選択することで、予約手続きが完了します。事前に問診票を登録できるサービスもあり、スムーズに診察を開始することができます。診察時には、ビデオ通話を通じて医師が患者さまの症状や既往歴を詳細に把握し、必要に応じて処方箋を発行します。
オンライン診療における処方箋発行:基本フローと選択肢
オンライン診療においても、対面診療と同様に医師の判断に基づき処方箋が発行されます。基本的な流れは、「診察 → 処方箋発行 → 薬局へ情報伝達 → 調剤・服薬指導 → 患者さまへ薬剤交付」となりますが、情報伝達と薬剤交付の方法に複数の選択肢が存在します。
パターン1:紙処方箋を患者さまへ郵送(患者さまが薬局へ持参)
☆流れ
医療機関が発行した紙処方箋の原本を患者さま宅へ郵送し、患者さまがそれを持参して希望の薬局で薬を受け取ります。
☆メリット
患者さま希望による対面服薬指導への切り替えが容易です。
☆デメリット・注意点
・患者さまの手元に処方箋が届くまで時間がかかり、すぐに薬が必要な場合には不向きです。
・処方箋の有効期間(通常発行日を含め4日間)内に患者さまが薬局へ行けない可能性があります。有効期限切れを防ぐため、患者さまへの確実な注意喚起が必要です。
・郵送中の紛失リスクがあります。
パターン2:紙処方箋情報をFAX等で薬局へ送信(原本は後送)
☆流れ
まず、医療機関は処方箋情報をオンラインシステムやFAX等で患者さま指定の薬局へ送信します。なお、薬局がFAX情報を基に調剤を進めるためには、処方箋の備考欄に『オンライン対応』といった記載が必要となる点にご留意ください。
☆メリット
患者さまは処方箋原本の到着を待たずに、比較的速やかに薬を受け取ることが可能です
デメリット・注意点
・FAX送信時の注意:宛先(薬局名、FAX番号)の誤り、送信不鮮明による情報不足に注意が必要です。
パターン3:電子処方箋の発行
☆流れ
電子処方箋管理サービスを通じて処方箋を発行・共有します。患者さまはマイナンバーカード等を利用し、薬局で処方箋情報の閲覧・利用に同意します。
☆メリット
・医師・医療機関側の業務効率化:処方箋の印刷、封入、郵送といった物理的な手間が不要になります。記載漏れや重複投薬のチェック機能もあり、医療安全にも寄与します。
・迅速な情報連携:処方箋情報が即座に共有されるため、患者さまはスムーズに薬局で手続きを進められます。
ペーパーレス化:保管スペースや管理コストの削減につながります。
☆デメリット・注意点
・医療機関、薬局双方にシステム導入と運用体制が必要です。
・患者さまにもマイナンバーカードの利用等、一定の理解と協力が求められます。
・推奨:オンライン診療との親和性が非常に高く、今後の主流となる方式です。導入医療機関・薬局が増加しており、積極的に活用を検討する価値があります。